小惑星ニアミス

2019年08月01日 09時00分

 すんでのところで辛くも難を逃れる、ということが世の中にはままあるものだ。落語の「紙入れ」もそんな噺の一つである

 ▼兄貴分の旦那の奥さんといい仲になってしまった新吉。旦那の留守を見計らい、奥さんの手引きで家に上がり込んだまでは良かったが、旦那が思ったより早く帰宅してしまう。「こっちよ、裏から出て」。奥さんが機転を利かせ、旦那が表から入ると同時に何とか裏口から逃げ出せたのである。これをちまたでは俗にニアミスという。かなり危うい場面だったもののギリギリ衝突は避けられた。道ならぬ恋が露見するのは当事者にとって穏やかならぬ事態だが、こちらのニアミスの話を聞けばそれもかわいいものに思えてくる

 ▼先月25日に直径130㍍の小惑星「2019OK」が地球のすぐ近くを通過していたというのである。米国とブラジルの天文学者らが発見し、29日に正式に確認した。ぶつかれば東京都と同じ範囲を壊滅させるくらいの破壊力があったらしい。ニアミスで助かった。地球から7万2000㌔の通過ポイントはさほど近くないようにも思える。ところが天文学的にはかすったも同然だそう。地球上にはこうした衝突によってできたクレーターが165個あるというから、現実に起こらないことではない

 ▼とはいえ米航空宇宙局(NASA)は、今後数百年は地球軌道と交差する小惑星がないことを確認している。ただその先は、人為的に小惑星の軌道を変える手段も考える必要があるようだ。そっと裏に誘導してくれる機転の利く奥さんもいないのだから仕方ない。


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