札幌市内の北海道新幹線トンネル工事で発生する「要対策土」の受け入れ先確保が難航している。整備主体の鉄道建設・施設整備支援機構と地元の札幌市は7月末、市内の2候補地で地域住民に調査着手を打診したが、不安や反対が噴出。調査着手の保留を判断した。機構はあらためて説明機会を設け理解を求める方針だ。
「検討内容が詳細ではない」「もう少し具体的なデータを」と語気を強める住民。「万全の対策を検討するための調査に理解をいただきたい」とする同機構。7月31日に市内の手稲区金山地区で開かれた住民説明会では、こうしたやりとりが繰り返された。
機構が重金属の性質、対策により安全性が確保できることを説明した上で、受け入れ可能かどうかの判断や、詳細な対策の樹立や調査実施に理解を求めた。
しかし、自然に害を及ぼす可能性のある掘削土の受け入れに対する住民の不安は強く、会場からあふれるほど詰め掛けた約160人の住民からは反対や不安の声が相次いだ。
学校や浄水場の取水口に近いことも住民の不安材料になった。
金山地区では4日に2回目の説明会を予定するが、厚別区山本地区に続き反対の声が多数を占めたことを受け、機構は現地での事前調査を保留する方針を固めた。
地域には重金属が及ぼす影響に加え「なぜこの地域なのか」と疑念を抱く住民も多く、候補地として挙がったことに反発の声もある。
しかし、土地利用の進んでいる市内では掘削土が搬入可能な面積を持ち、条件が整った土地は多くない。
機構と市は、説明会で挙がった意見も踏まえ、住民説明を続け、理解を深めるよう努める姿勢だ。
北海道建設新聞の2019年7月30日付12面と8月2日付15面に関連記事を掲載しています。