札幌のヒグマ騒動

2019年08月22日 09時00分

 胆振東部地震からもうじき1年になる。地震もさることながら、今まで経験したことのなかったブラックアウト(本道全域停電)にはずいぶん悩まされた

 ▼その時期、こんな意見がSNSに投稿され、物議を醸したのを覚えている人も多いのでないか。「電気がなければまきストーブで暖を取ればいい」。北海道には木がたくさんある。緊急時にはそれを使えばいい、というわけだ。道外を中心に賛同者が一定数いた。これがどれほど非現実的なアイデアかは道民なら考えるまでもない。原生林の中で細々と暮らしているわけではないのである。きっと自然豊かなイメージから短絡的に発想したのだろう。実態を知らぬゆえの無責任な提言というべきか

 ▼こちらも同じと思わざるを得ない。札幌市南区藤野周辺の住宅街をわが物顔で歩き回るようになったヒグマを射殺駆除した件で、市に多数の抗議が寄せられているというのである。麻酔銃で撃って森に帰せばよかった、かわいそう、といった意見が目立つそうだ。「どうしん電子版」によると20日までに530件の意見があり、5割強が反対と抗議。その大半が道外からだったという。まさか「くまのプーさん」(ミルン)が遊びに来ていると愉快な想像をしているわけでもあるまいが

 ▼ヒグマは雑食性の猛獣である。執着心が非常に強く人を襲う可能性も高い。人里に出て来させない工夫が必要なのは当然だろう。ただ、山から下りてきて人家にある物の味を覚えてしまった個体に対しては、心を鬼にするしかない。それが野生と向き合う本道の現実である。


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