世間には話の通じない人というのがいるものだが、中には相手を困らせるためわざと意地悪なことを言うたちの悪い人もいる。落語の『居酒屋』もそんな噺
▼酔っぱらって入ってきた客に小僧が尋ねる。「さかなは何にしましょう」。客は「いるって言ったかね」。小僧が「じゃあいらないってことですね」と戻ろうとすると、「いらないとは言ってない。少しは俺に考えさせろよ」。はなから絡むつもりなのである。揚げ句に「品書きの最初にある口上を一人前持ってこい」だの、「棚の上のさかなが見にくいから棚をこっちに寄せろ」だの無理難題を言い出す始末。どうにもこうにも手が付けられない。最近の韓国もこの酔客と似たようなところがある
▼韓国が23日、日韓両国で軍事機密漏えいを防ぐため結んだ軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を日本に通告したのもいい例だろう。韓国の言い分は「日本が輸出規制を強化した」「日本が後でGSOMIAを破棄すると韓国の面目がつぶれる」から。お笑い芸人サンドウィッチマンの一節を借りると、「ちょっと何言ってるか分からない」。輸出に関しては韓国がずさんな管理を適正化すれば済むことだし、GSOMIAに至っては日本に破棄する理由がない
▼酒でなく反日気分に酔って絡んでいるとしか思えないのである。居酒屋の小僧と同様、日本も難儀させられている。落語では最後に酔客の兄貴分が出てきて連れ帰る。韓国の兄貴分といえば同盟を組む米国ということになろう。ただ、ここまで酔っていては呼び掛けも耳に届くかどうか。