建設業連盟連盟と道建協、協力覚書提案も
中央アジアの成長国、カザフスタンの有力建設業者「ストロイクラス」の幹部が8月に初めて来道し、札幌市内で建設現場を視察した。公的な支援金を利用しない独力での来道で、中央アジア諸国としては異例。カザフは周辺国より経済発展が進んでいて、本道建設業にとっては将来の進出先候補ともなりそうだ。
来道したのはタルガト・イェルガリエフ会長はじめ、傘下のゼネコン会社や施工会社幹部。19日に新千歳空港から本道入りし、26日まで7泊8日の日程で滞在した。
20日に苫小牧、室蘭を訪れて野菜温室栽培のJファーム苫小牧、日本製鉄室蘭製鉄所などを視察し、翌21日から札幌で建設現場の視察をスタート。23日にかけて、新太平洋建設、西松建設、岩田地崎建設、砂子組のマンション建設現場を回った。このほかロシアから札幌に進出した窓枠メーカー「KARVI JAPAN」、また道、北海道建設業協会も訪問した。
21日午前は札幌市中央区で、新太平洋建設が施工する15階建て分譲マンションの様子を視察。最初に最上階に上がり、進ちょく度の異なる各フロアを歩いた。「躯体工事に使う鉄筋は溶接しているのか」「資材の加工はどこでやって、廃材はどう処理するのか」といった質問が続き、担当者が丁寧に回答した。
22日午後にはJR苗穂駅エリアにある岩田地崎建設の現場を訪ねた。基礎工事の初期段階を見た後、近隣にある事務所で同社の担当者と面談。建設資金調達の方法や、下請け業者の選定方法などについて具体的な質問、回答を交わした。
北海道建設業協会へは23日午後に訪問。栗田悟副会長から協会の概要説明を受けた。協会が北海道開発局や道と定期的な意見交換をしている点について、カザフの建設業連盟会長も兼任しているイェルガリエフ会長は「素晴らしい方法で、わが国でも取り入れたい」とコメント。その上で、カザフの連盟と道建協で協力の覚書を結ぶことを提案した。
ストロイクラス社は本社を首都ヌルスルタン(旧名アスタナ)市[MAP↗]に構え、マンションやオフィスビルの建設をメイン事業としている。社員数は約130人。業界団体による優良企業ランキングでは同市内4位という。
カザフスタンの人口は現在1840万人。世界銀行によれば2018年の1人当たり国内総生産(GDP)は9331米㌦で、途上国ではなく「中進国」と呼ばれる段階に進んできた。
首都ヌルスルタンの人口はことし1月時点で108万人。遷都した1997年から4倍に膨らみ、これに伴い住宅やオフィスが急増してきた。
世界銀行が国別に事業のやりやすさを比べる「DoingBusiness」ランキングで、カザフは19年に世界28位と、日本(39位)を上回った。今後本道と交流が生まれる可能性もありそうだ。
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