深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り カザフスタン建設業連盟 タルガト・イェルガリエフ会長

2019年09月01日 16時00分

タルガト・イェルガリエフ会長

カザフ進出、日本に商機

 中国とロシアに接するカザフスタンは、中央アジアで最も経済発展を遂げた国だ。同国建設業連盟のタルガト・イェルガリエフ会長が8月下旬、本道建設業界に学ぼうと初めて来道し、札幌市内で現場を視察して回った。有力建設会社「ストロイクラス」の経営者でもある同氏に、両国の連携可能性を聞いた。

 

 

 ―国際協力機構(JICA)などによる訪日研修ではなく、自主的に来日したと聞く。本道を選んだ理由は。

 建設業が世界的にハイレベルな日本で、北海道は寒冷地という点でカザフスタンと似ている。当社が本拠とする首都ヌルスルタン(旧名アスタナ)市は真冬はマイナス30度以下まで下がる。当社のメイン事業はマンション建設で、20階以上の高層型も手掛ける。北海道にあるような高品質のビルを建てられるようにノウハウを学ぶのが目的だ。

 ―岩田地崎建設、新太平洋建設、砂子組などの現場を見た。

 どこに行っても作業現場が整理整頓されているのに驚いた。カザフの現場はもっと乱雑で、毎日作業後の片付けのために別の人を雇っている。感心したのは居室の施工で、外に直接つながる換気口が多かったこと。われわれの場合、換気は各部屋からパイプを巡らせて建物内の1カ所に集めるのが主流。日本式はシンプルだ。モデルルームにも感銘を受けた。家具を置くだけでなく食器や雑貨、クッションなどで生活しているような空間をつくるのは、人々の購入意欲を高めるだろう。

 ―自身の経歴は。

 出身は現首都から70㌔離れた村だ。大学で機械工学を専攻、しばらくその大学で教員をしていたが、ソ連がなくなり独立国になったのを機に商売を始めた。当時は深刻なモノ不足で、食品をはじめあらゆる物資の調達をやっていた。いくつかの仕事を経て建設業界に入り、2001年に独立。今の会社は04年に設立した。

 ―カザフの特徴は。

 世界9位の国土面積に人口は1800万人と少なく、逆の状況にある日本からぜひ移住してもらいたい。カザフ単独の市場は小さいが、関税同盟を結ぶ隣国ロシアとの一体的なビジネスが可能だ。また、ユーラシア大陸の中心部で他の中央アジア諸国につながる物流拠点の役目もある。近隣を合わせて3億人の市場への玄関口と理解してほしい。

 ―国の人口は増加傾向が続く。住宅建設市場はどうか。

 昨年の住宅供給面積は130万m²で、残念ながら伸びてはいない。一時の急成長が落ち着き、ここ数年は踊り場だ。住宅ローンの金利が実質的に17%以上と高く、家を買える庶民は限られる。だが指摘されるように人口は首都を中心に増えていて、中長期的にはさらに市場が拡大するのは間違いない。

 ―外国企業の動きは。

 建設を含むあらゆる業種で外資の動きが活発だ。出資をしたり、合弁で事業展開したり。ロシアはもちろん、ドイツやオランダ、トルコ、米国、インド、中国や韓国など枚挙にいとまがなく、日本の事例が少ないのが不思議だ。100%外資の法人設立も可能。土地の取得こそ認められていないが、外国企業が活動しやすいようさまざまな支援策も設けられている。

 ―日本の建設業の商機は。

 建設会社なら建てたマンションを国が買い取る制度もあり、リスクを抑えた形で進出できる。カザフの建設業界の情報は日本ではなかなか得にくいと思うが、われわれの連盟が窓口となる。気軽に問い合わせてほしい。(聞き手・吉村 慎司)

 タルガト・イェルガリエフ 1966年7月、ソビエト連邦時代のカザフスタン出身。カザフ国立技術大卒。93年に商社を始め、その後複数のビジネスを経験。2004年ストロイクラス創業。10年建設業連盟会長。12年から4年間国会議員も務める。

(北海道建設新聞2019年8月30日付2面より)


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