山登りをする人はお分かりと思うが、「偽ピーク」と呼ばれるものに出くわすことがたまにある。山頂の手前にあるそれとよく似た形状のとんがりのことだ
▼これがなかなか登山者泣かせなのである。偽ピークを山頂と思って息も絶え絶えにたどり着いてみると、その先に本物がそびえ立っているという具合。もう山頂までそれほど遠くではないものの、体力を使い切ってへとへとの中でのこの距離はかなりこたえる。消費税も似たところがありはしないか。増税まであと20日あまり。息切れへの不安がにわかに高まりつつある。8%から10%への上積みは2%にすぎない。ただ8%の偽ピークで青息吐息だった消費者には、そこから山頂へ続く2%の道のりが数字以上に険しく感じられよう
▼ほとんどの飲食料品が軽減税率の対象になるとはいえ、生活に欠かせない電気やガス、上下水道、灯油にはそのまま上乗せ。もとより家具や家電、エコカー減税対象外の車といった値が張る商品は2%でもばかにならない。来月から10%が適用され、ほどなく冬である。特に電気代や暖房費がかさむ本道はじめ積雪寒冷地にとっては別の意味でも寒い冬となろう。光熱費関係は経過措置もありすぐに上がるわけではないが、猶予もせいぜい1、2カ月だ
▼いざ始まると日本経済に大ブレーキがかかってもおかしくない。そうならないよう、政府も疲れた国民を頑張って登らせる分厚い補正予算を組むのだろう。そうして必死にたどり着いてみると、その向こうで財務省がさらに高い15%の山頂をそびえさせていたりして。