もう10年近く前になるが、組織人の生態をコント形式で面白おかしく描いたNHKのバラエティー『サラリーマンNEO』を毎週楽しみにしていた。ファンだったという人も多いのでないか
▼中でも異色のキャラクターとして絶大な人気を誇ったのが、沢村一樹さん扮(ふん)する「セクスィー部長」こと色香恋次郎である。毎回、強烈な男性的魅力で女性たちを骨抜きにしながら、会社を窮地から救って去っていく。色気をことさら過剰に演出した人物造形や、「セクシー」を本来の発音に近い「セクスィー」と呼び直させる遊び心が笑いを生んでいた。誇張しているとはいえほとんどの日本人にとって、「セクシー」はこうしたエロチックなイメージを帯びた言葉だろう
▼それが22日、国連で小泉進次郎環境相の口から飛び出したのだから皆が驚いたのも無理はない。気候変動に関連する会合後の記者会見で、「問題を解決するにはそれが面白く、カッコよく、セクシーでなければならない」と語ったのである。性的な興奮を利用して人にやる気を出させる、という趣旨ではなかったようだ。セクシーには俗語で「イカした」の意味があるのだとか。そもそも小泉氏は同席者の演説を引用しただけだったらしい
▼ただ正式な場で使わない言葉のためメディアが面白おかしく紹介した。新人大臣への洗礼だろう。今回に限らず小泉氏で気になるのは話題にはなるものの具体的中身のない発言が多いことである。このままでは女性人気が高いだけの「セクスィー大臣」になってしまいそうだが本人の自覚やいかに。