保険やクレジットカード、携帯電話を購入するときに付きものの「利用規約」や「契約概要」を読む作業ほど苦痛なものはない。虫眼鏡がなければ識別できないような小さな字がページをびっしり埋め尽くすあの説明書きである。読ませたくないとしか思えない
▼昔から好きではなかったが、老眼になってからはもはや黒い点の羅列にしか見えなくなった。立ち向かうのは諦め、引き出しの奥にしまい込むのみである。ところがこの説明書き、実は結構大切な事柄がたくさん記されているからたちが悪い。まあ、読まないこちらが悪いのだが…。保険が下りない場合やカードの安全性、携帯使用の注意点など。いざ確認して驚くことが少なくない。商品内容がそれだけ複雑ということだろう
▼あしたから消費税率が10%に上がる。増税は嫌だが計算はしやすくなる、のかと思えばさにあらず。不本意ながら「利用規約」の類いが読みたくなるくらい、負担の仕方が分かりにくいらしい。理由は軽減税率の扱いである。飲食料品が8%に据え置かれるのはいいとしよう。さてそこからだ。例えばサプリメントやペットボトルの水は8%で薬や水道水は10%。ぜいたく品を高税率にするのではなかったか
▼電子決済時のポイント還元は値引き方法や還元率が店や決済手段でまちまち。店内飲食と持ち帰りで税率が変わるはずの外食も、価格に差をつける企業とつけない企業がある。プレミアム付き商品券はもらえたりもらえなかったり。全てを理解するには分厚い説明書きがいる。消費税もますます苦痛になりそうだ。