お笑いトリオ「ジャングルポケット」に定番のコントがある。場面は変わっても基本構成は同じ。学校が舞台だとこんな具合だ
▼いつも100点の生徒が95点を取ってしまい成績不振だと悩んでいる。そこに別の生徒が現れ、「俺は今回28点で前回の倍。学力の伸びがすごいだろう」と自慢。さらに教師も出てきて95点の生徒をたしなめ、28点の生徒をべた褒めする。先の生徒は悔しさに奮起しやる気を取り戻すのだ。実は教師が伸び悩んでいる優秀な生徒を心配し、成績の悪い生徒に謝礼を払って一芝居打ってもらった、というのがオチ。たぶん聞いただけではクスリともしなかろうが、見ると大いに笑える。9日に臨時国会が終了したとの報に触れ、そのコントを思い出した
▼今回は政府が「桜を見る会」で失態を演じて野党のやる気に火を付け、国民に対しアピールできる見せ場を用意してあげたようなもの。その謝礼だろう。政府が新たに提出した法案と条約のほとんどはもめることなく成立、承認された。表では与野党が鋭く対立しているように見えて、裏では国対(国会対策委員会)で全て話が出来上がっている。存在感を示せた野党と国会を無事乗り切った政府・与党の表情が共に満足げなのを眺めると、そう考えざるを得ない
▼法案審議がおろそかになり、日本にとって大事な問題も議論に上らないとすれば国会にどんな意義があるのか。先のコントでは最後に謝礼を受け取った生徒が「楽な仕事じゃないよ」と叫んで去っていく。きっとそうだろう。ただ国会議員の方は随分楽な仕事のようだ。