童謡「仲よし小道」(三苫やすし作詞、河村光陽作曲)を覚えている人は少なくないだろう。歌ったことがあるとすれば小学生のころでないか。一番はこんな歌詞だった
▼「仲よし小道は どこの道 いつも学校へ みよちゃんと ランドセルしょって 元気よく お歌をうたって 通う道」。みよちゃんは、やはり女の子であろうこの童謡の主人公の家の隣に住んでいる。学校へ行くのも遊ぶのもいつも一緒である。主人公とみよちゃんに限らない。どこの家にも子どもがいて、毎日誰か彼かと連れ立って学校へ行く。泣いたり笑ったりけんかしたり―。近所にはいつも子どもたちの歓声が響いている。どうやらそんな風景は急速に過去のものになろうとしているようだ
▼2019年生まれの子どもの数(出生数)が86万4000人となり、初めて90万人を割るそうだ。過去最少である。厚生労働省がおととい、19年人口動態統計の年間推計を発表し明らかになった。将来推計より2年も早い86万人台落ちという。夫婦一組当たりの子どもの数は近年さほど変化がない。ところが今は適齢期の男女の数自体が少ない上、結婚する人も減少傾向。いわばダブルパンチで少子化に拍車がかかっているのである
▼未曽有の大災害に匹敵する状況だというのに政府や国会は桜だ何だとのんきこの上ない。年齢の高い人が多いからだろうか。若い人たちが憂いなく子どもを産み育てられる環境を早急に整えねばならないのだが。このままではひとりで学校に通う子どもばかりになり、「仲よし小道」も歌えなくなりそうだ。