四方を海に囲まれた日本には小さな島が多い。総務省の離島振興対策実施地域概要によると、本州と北海道、四国、九州、沖縄本土を除く離島は実に6847島。このうち人が日常的に住む有人島は418島あるという
▼そこで島民が頼りにするのは船である。移動手段としてはもちろん、島にはない生活物資を運び入れるのにも必要だ。食料や燃料、各種資材、地域によっては飲料水も外から持ち込まねばならない。それだけに、しけが長引くと大ごとだ。船の能力が格段に向上した現代はそう深刻な事態に陥ることもないが、昔は相当過酷な生活を強いられた。文字通り生命線が断たれるのだから当然である
▼ところで今、これと似たことがまた起こりつつあるのに気づいている人もおられよう。日本が石油輸入の85%を頼る中東で米国とイランの軍事衝突が懸念されているのである。石油はわが国の生命線。紛争で船運が滞るとエネルギーはもとより、物流や生活必需品の製造などあらゆる方面に影響が出る。米軍によるイラン革命防衛隊の司令官殺害が発端だった。西側から見ればテロリストだがイランにとっては英雄だ。報復宣言したイランは7日に米軍駐留のイラク基地を攻撃。トランプ大統領は反撃に抑制的だがいつ何をするか
▼この間、日本では株価が乱高下し、ガソリン価格も上昇傾向。原子力発電所もほぼ止まっているため長引けば電気料金にも跳ね返ってこよう。経済大国として世界に冠たる日本も、エネルギー安全保障の分野ではいまだ離島である現実を思い出さないわけにはいかない。