高木組が函館港で仮設置
函館開建は22日、函館港で松前町の江良漁港波除堤整備に使用するケーソンの移設作業を報道機関向けに公開した。同開建管内でケーソン製作を伴う工事は5年ぶり。海洋土木工事の流れや作業内容を説明した。
江良漁港は岸壁から波が越流しやすい状態で、蓄養施設の一部が被災するなど漁業活動に支障を来している。そこで、延長30mの波除堤を港内に設置することにし、2019年度、高木組(本社・函館)にケーソン製作を発注した。
ケーソンは2函。RC造でいずれも高さ7m、長さ15m。幅は標準部8m、堤頭部13mで、重量は標準部535㌧、堤頭部777㌧ある。
この日の作業ではまず、ケーソンを積載したフローティングドックと呼ばれる作業船を防波堤近くに運んで海中に沈め、ケーソンを浮上させた。
その後、ケーソン内部をカメラで撮影し、漏水していないかを点検。ロープを張ってタグボートでけん引し、港内に設けた仮置き場までえい航した。
開建によると、江良漁港近くの福島漁港では作業に必要なスペースが確保できなかったことから、今回は函館港で製作した。
今後、50カイリ(約90㎞)離れた江良漁港まで22時間ほどかけて運び、20年度以降に予定する波除堤本体の建設に備える。
説明は、監督員を務める函館港湾事務所第2工務課の女性技術者、早坂泉秋さんが担当した。
入職1年目の早坂さんは「漁業者に喜んでもらえると思うとやりがいを感じる。ケーソンを壊さず、作業者にもけがをさせないよう安全に運びたい」と話していた。
(北海道建設新聞2020年1月24日付13面より)