今50歳代半ば以上の人なら、これを聞くと当時を思い出し胸が熱くなるのでないか。「虹の地平を 歩み出て 影たちが近づく 手をとりあって 町ができる 美しい町が あふれる旗 叫び そして唄」
▼札幌医大教授で詩人の河邨文一郎氏が作詞し、トワ・エ・モアが歌った『虹と雪のバラード』(村井邦彦作曲)である。1972年に開かれた札幌冬季五輪のテーマソングだった。日の丸飛行隊が忘れられない。日本オリンピック委員会(JOC)が29日、札幌市を2030年冬季五輪・パラリンピックの国内候補地に正式承認した。招致に向け、いよいよ列車が動き出す。72年の感動を知る者の一人として、期待するところ大である
▼もちろん高度経済成長期の大会と同じというわけにはいかない。札幌市も「人と地球と未来にやさしい」持続可能な「オリ・パラ」モデルを提案しているとのこと。費用をかけ過ぎるのも、恵庭岳の山肌を傷つけて滑降コースを整備するような無茶な自然破壊もなしである。「来年の事を言えば鬼が笑う」というから10年後の事など鬼もあきれるだけだろうが一つだけ。秋元克広市長も昨年言及していた。31年春予定の新幹線札幌延伸を29年中に前倒しできないか。新幹線が五輪に間に合うとなれば、まちづくりも観光も可能性は大いに広がる
▼先の曲は最後にこう歌われていた。「生まれかわる サッポロの地に きみの名をかく オリンピックと」。五輪と新幹線は札幌のみならず本道全体を生まれ変わらせる力を持つ。道民が「ワンチーム」で実現させたいものだ。