札幌市は記録的な少雪を受け、市道除雪を受託する除排雪事業者への緊急対応策を実施する。通常は出来高に応じて費用を精算しているが、今シーズンは出来高に関係なく契約総額の78%までを支払う。極端な少雪で出来高が低迷し、通常精算では固定費が支払いを上回り採算割れする可能性が高まっていた。
市内の積雪深は1月30日現在で25cmと前年の約半分。除雪シーズンは折り返しを迎えたが、除雪回数は平年を大きく下回り、全工種平均の出来高は18.1%と同3分の1程度にとどまる。
市道除雪は出来高に関係なく従事者の給与や使用車両の損料、賃料など必要経費が発生するため、市は設計に達しない部分の約6割を補填(ほてん)する待機補償を設けている。
今冬は出来高が例年を大きく下回る異例の事態で、待機補償を適用しても採算確保が難しい状況。市内23地区を担当する建設業は緊急対応を要請していた。
このため、市は今冬に限り臨時雇用者や建設機械のレンタル料など固定的経費相当額が支払えるよう緊急対応を適用。全工種平均の出来高が50%に達するまでは、契約総額の78%を支払うことにした。出来高が50%を超えると緊急対応の支払額を上回るため、現行制度を適用する。
札幌市除雪事業協会(213社)の宮浦征宏会長は「一定の固定費を確保するめどが付いた」と迅速な対応に感謝。一方で、出来高に関係なくかかる経費は契約額の8割を上回るとして「引き続き少雪時対応を協議したい」と話している。
(北海道建設新聞2020年2月3日付14面より)