あってもなくても文句を言いたくなるものは何か―。答えは「雪」である。そう聞いてうなずく人は雪国で生まれ育った人だろう。このあたりの複雑な感情は雪のない土地の人には分からないかもしれない
▼「節分過ぎ凍てつく日続く夜よりも昼の寒さに耐へ難くをり」長尾法子。今冬はそんな耐え難い日が来ないのかと思いきや、記録的な暖かさになった1月が終わった途端、本道はすっぽりと強い寒気に覆われた。ストーブの火力を強めにした人も多かったに違いない。きのうも各地でマイナス25度を下回る気温が相次いだ。陸別の27・4度を筆頭に阿寒湖畔26・1度、歌登25・2度といった具合。札幌では5日から6日にかけて大雪が降り、一気に平年並みを超え79cmもの積雪に達した
▼「雪除けにはげむ人あり路をゆく吾とほらしめ汗ふきてをり」氏家不二雄。道行く人を通らせるため、作業の手を止めて汗を拭ったのだ。たぶん〝雪がないのも寂しいが、こんな一遍に降らなくても〟と文句を言いながら。ともあれ札幌がようやく冬らしい姿になったのも事実。開催中の「さっぽろ雪まつり」にちょうど間に合った。雪不足で雪像ができるかどうか危ぶまれていたのが、うそのようではないか
▼先日、大通会場を覗いてみると、いつものようには中国語が飛び交っていなかった。人出もやや少ないようだ。新型肺炎のせいだろう。「氷廊を渡りおとぎの城に入り振り向く児らのあどけなき顔」相良和。地元民はあまりまつりに行かないものだが案外ことしは狙い目かもしれない。開催は11日までである。