新型コロナウイルス拡大の危機感から鈴木知事が「緊急事態宣言」を出し、道民に外出自粛を要請した先の土日、皆さんはどう過ごされたろうか
▼どの地域も中心街やレジャー施設は閑散としていたようだ。一方で思わぬ混雑に見舞われていた場所も中にはあった。スーパーやドラッグストアである。紙が不足するとのデマが流れたため、その影響で多くの人が箱ティッシュやトイレットペーパーの確保に走ったのだ。紙不足ならまだかわいい方かもしれない。もっとたちが悪いのはテレビのワイドショーや一部メディアの間違った情報だ。訳知り顔の「識者」の妙な話を繰り返し伝えている。ある人は「検査を増やさないのは感染者数を少なく見せ掛けるため」と陰謀論を展開。またある人は「厚生労働省が北海道で検査の妨害をしている」と断じる始末だ
▼こうしたデマが大手を振って歩く状況を見過ごせなくなったのだろう。国立感染症研究所が1日、「報道の事実誤認」に反論する文書をまとめ、公表した。デマを明確に否定した上で、一部報道は「緊急事態において昼夜を問わず粉骨砕身で対応に当たっている」関係者を不当に扱い、国民に誤解を与え、対策に悪影響を与えていると批判。言葉は丁寧だが行間に怒りがにじんでいる
▼今のところ日本では感染者は周囲にほとんどうつしていない事実が分かっている。問題は密集空間だ。心配な人まで検査で病院へ殺到する事態になると中国の武漢同様、感染爆発が起ころう。紙はまだしも医療関係者が疲弊して消えてしまってからデマを嘆いても遅い。