札幌市環境局が市内の設計事務所445社にアンケート
札幌市環境局が市内の設計事務所を対象に実施したZEB(ゼロエネルギービル)、ZEH―M(ゼロエネルギー・マンション)に関するアンケート結果によると、建設技術の課題として「予算内での提案が難しい」との声や、「設備、材料などの単価が高く費用対効果を示せない」などの意見が共通して多かった。
ZEB、ZEH―Mの普及状況や普及に向けた課題を把握するため、2019年11月から12月にかけ、北海道建築士事務所協会の札幌支部会員など445社を対象にアンケート。うちZEB、ZEH―Mへの関与が想定される201社を有効対象事業者とし、31.8%に当たる64社から回答を得た。
結果を見ると、設計・施工に関する人材について、ZEB、ZEH―Mそれぞれで「設計する人材の不足」が約4割、「設計者の技術力向上が必要」が約3割と、人材や技術力不足が大きな課題となっている。
また技術的な課題について「建て主の予算内での提案が難しい」はZEBが63%、ZEHが73%でともに最多。このほか、高性能な断熱・省エネ設備の単価が高く「費用対効果を示せない」との声が共通して多かった。
一方、普及のための支援策についてはツールや補助を求める意見が多く、「費用対効果試算ツール」が約8割、「検討するための事前設計費補助」が約6割だった。
アンケート結果を基に同局は20年度、建築主や施工業者に光熱費などの削減効果を分かりやすく示す「見える化ツール」の作成に着手。このほか、設計費補助の開始や講習会の開催など新たな取り組みを展開し、ZEB、ZEHのさらなる普及を目指す。
(北海道建設新聞2020年3月24日付10面より)