きょうから新年度である。きのうと大きく違う日ではないが、何となく新鮮に感じられるのは入学の時期でもあるからだろう。子どものころからそのリズムが心と体にしみこんでいる
▼ただ、ことしばかりはその最初の一歩を踏み出す新一年生が気の毒でならなかった。新型コロナウイルスのせいで入学式が無事行われるかどうか分からなかったからである。毎年恒例の登校練習風景も、ことしはほとんど見掛けない。幸い各学校の入学式は、いずれも日程を後ろにずらすことなく開けるようだ。小学校に限っては保護者の出席も認められるという。親御さんらも胸をなで下ろしていよう。「入学の子の顔頓(とみ)に大人びし」高浜虚子。小学校に通うまでに成長したわが子の晴れ姿を見逃すわけにはいかないではないか
▼ただ、文部科学省は先週、知事や学校関係者に教育活動再開の注意点を通知。換気の徹底や十分な距離の確保、近距離での会話の自制などを呼び掛けた。入学式もこれに則った形で行われる。小学1年生と聞くと、『ことばのしっぽ』(中央公論新社)で読んだ花岡穂月さん(小1・当時)のこの詩を思い出す。「じょうずにひらがなができるし 12345678910を 1からかぞえると 4は「し」っていうのに 10から1までかぞえると 4は「よん」っていうの それがわかりました」
▼これからもたくさんのことに気付くのだろう。のびのびと、とはいかないものの、その門出の日は無事迎えることができそうだ。本道で子どもたちの晴れやかな顔が見られるのは来週である。