町と土地賃貸契約 投資額8億円想定
厚真町は1日、肉製品の製造や加工、小売、卸売、輸出入などを手がける畜産業のGOODGOOD合同会社(本社・大阪)と、和牛メゾン事業開始に向けた大規模開発跡地の賃貸契約を締結した。町総合福祉センターで開いた調印式で、宮坂尚市朗町長と同社の野々宮秀樹代表社員が協定書に署名した。今後、土地を活用して和牛の繁殖、肥育事業などを展開する計画だ。
賃貸するのは、町が2012年に寄付を受けた高丘の大規模開発跡地約203ha。ゴルフ場を整備するため開発が進められてきたが計画が止まり、しばらくの間放置されていた。町は環境保全と、土地が本来持つ生産性の発揮という両面が両立する利用方法を模索していた。
そうした中、18年に同社から跡地を一体的に利用したいとの申し出があり、協議を開始。町が検討を進めてきた土地利用方法と考え方が合致したことから、土地の賃貸契約を結んだ。
同社が手掛けるのは、生態系と調和した形での循環型畜産や精肉、料理、加工、体験などを一貫実装する和牛メゾン事業。和牛を繁殖、肥育し、肉は基本的に自社店舗で料理提供するほか、小売り、海外への販売を想定している。
和牛事業に加え、宿泊やレストラン、企業研修、乗馬事業なども計画。20年度は調査や計画づくり、21―22年度は作土層の充実や牧柵設置、畜舎・法定堆肥舎などの建築開始、社員向け住宅の建設検討を予定する。
23年度は本格的な播種(はしゅ)や宿泊棟の建設、24年度は牛の導入頭数増加、25年度は牛を200頭程度まで増加させることを検討するとともに、食事が提供できるよう準備を進めることにしている。
投資額はソフト事業を含め8億円を想定。雇用者数は当初3人程度、最終的には10人程度を見込んでいる。土地の賃貸借期間は22年間。
調印式で宮坂町長は「町が描いていた以上の提案に感謝しており、できる限りサポートしたい。被災地の地域再生のための尽力に期待している」と述べた。
野々宮代表社員は「土づくりから肉づくり、食文化までを地域と共につくりたい。この事業は胆振東部地震前から検討してきたが、この考えをくんでくれた厚真の皆さんに感謝している。結果を町、胆振地域、北海道に還元したい」と決意を示した。(苫小牧)
(北海道建設新聞2020年4月3日付19面より)