道路を車で走っているとき、進路上にごみが落ちていて危ない目に遭った経験はないだろうか。近くに行くまでそれが何かは分からない。ただ、空き缶程度でも踏めばそれなりの衝撃があるし、段ボール箱ほどの大きさで堅ければ車の破損はさけられない
▼ゆっくりのときはいいが、高速道路などでスピードが出ているとき突如目の前に現れると大変だ。慌てて急ブレーキ、急ハンドルを使うと事故を起こしかねない。たいていは安全確保のため巡回している道路パトロールカーや、親切な人が気を利かして障害物を取り除いてくれる。おかげでわれわれドライバーはいつも快適に運転できるというわけ。この進路上のごみ問題、地上だけかと思えばさにあらず。宇宙でも相当深刻だという
▼軌道上にある宇宙ごみは1cm以上で約2万個、1㍉以上だと1億個を超える。宇宙航空研究開発機構(JAXA)がこの2月、これを除去するプロジェクトの商業パートナーに民間企業「アストロスケール」を選んだそうだ。プロジェクトを安定運用していけるよう、商業ベースに乗せる世界初の試みである。何せ拳銃で発射する弾丸の10倍も速い物体が飛び交っているのだ。当たり所が悪ければ人工衛星などひとたまりもない
▼とはいえ作業員が手際よく回収するわけにもいかないため、軌道を変えて大気圏に落とす廉価な技術が必要。計画では2022年度中にごみの形や位置を把握する衛星を打ち上げ、25年度以降の除去実現を目指す。人工衛星も目の前に突然障害物が現れなければ、安心して仕事を続けられよう。