徳島市長に内藤氏

2020年04月07日 09時00分

 あえて口には出さずとも、「年寄りは辛気くさいことばかり言うから嫌になる」と考えている若者は多いに違いない。楽しい気分の時に、突然冷たい水をぶっ掛けるような忠告をしてきたりするからである

 ▼とはいえ若者も負けてはいない。徳島県出身で1983年生まれの歌人、田丸まひるさんの作品が痛快だった。こう歌っているのである。「幸せに浮かれてばかりじゃ痛い目を見るっていうなら今すぐ見せて」。年寄りの話にも全く理がないわけではないが、脅しに近い助言をぴしりと跳ね返す若者の力強さの前ではかすんで見える。仮に痛い目に遭ったとしても、その経験を糧にできるのが若者というものだろう

 ▼そんな心のしなやかさへの期待もあったのでないか。5日投開票された徳島市長選で、36歳の新人内藤佐和子氏が64歳の現職遠藤彰良氏を破って初当選した。全国で歴代最年少の女性市長になるそうだ。内藤氏は鉄工会社で役員を務める傍ら、地元のまちづくり団体代表としても活躍していた。絶望をくぐり数々の夢を叶えてきた人である。東大在学中に難病「多発性硬化症」を発症。一時は夢を失ったものの、何もできないと考えるのは「思い込みの壁」と気付き、以来積極的にビジネスや地域活性化に挑んできたそう。著書『難病東大生』に詳しい

 ▼先の歌人にはこんな一首もあった。「あやめあやめたぶんこれから繰り返すあやまちさえもわたしのものだ」。対立や批判を恐れ前に進めずにいる老いた市政には、痛い目にもくじけない内藤氏の若さと勇気が必要だったのかもしれない。


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