集英社の漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』で連載中の「鬼滅の刃」(吾峠呼世晴)が人気である。題名くらいは子どもから聞いたことがあるという人も多いのでないか。特別な力を身に付けた剣士たちが鬼を倒していく物語である
▼今では信じられないが最初はぱっとしない作品だった。当方も読者の一人として遠からず打ち切りだろうと思っていたほどである。ジャンプをはじめ漫画雑誌の査定はなかなか厳しいのだ。毎週、掲載している全作品を対象に読者アンケートを行い、順位を付けている。人気が低いと徐々に雑誌の後方へ押しやられ、回復が見込めなければ話が途中でも容赦なく打ち切られる。一週も手は抜けない。とにかく毎号が勝負である
▼政治家もそれぐらい緊張感や向上心を持った方がいいのでないか。最近の世論調査を見て考えさせられた。毎日新聞が18、19の両日実施した調査で、政党支持率が日本維新の会6%、立憲民主党5%となり、維新が立憲を抜き野党第一党の座に着いたのである。11、12両日の産経新聞とFNN合同調査でも維新5.2%、立憲3.7%と逆転していた。一度なら調査の偏りも疑われよう。ただ、こう続くと新たな流れが来ていると判断せざるを得ない
▼維新は新型コロナウイルスに対する吉村洋文大阪府知事のリーダーシップや、国政での前向きな政策提言などが支持増の理由だろう。国民はよく見ている。「鬼滅」の作者吾峠さんは読者の声に耳を傾け作品の質を上げていった。立憲に限った話でないが人々の声を聞けない野党に人気の出ようはずもない。