休日にテレビをつけると、たまに通販番組に当たる。いわゆる「テレビショッピング」だ。口上が面白いので買う気もないのについ眺めてしまう。しかしあのおまけの多さは一体何なのか
▼ある日などは液晶テレビを販売していて、テレビ台とデジタルカメラも付けるという。それだけで得した気になるが、さらに値段を半額にするときた。最後にはこうである。「きょうだけ、同じテレビをもう1台お付けします」。それなら最初から2台で売れよなどと文句を言うのは無粋だろう。意外なおまけをどれだけ豊富に用意できるかがテレビショッピングの勝負どころである。客の心を動かすのも楽ではない。既に誰もが持っている商品ならなおさらだ
▼まさかそれと同じことが原油取引で見られるとは思わなかった。代表指標のテキサス産軽質油5月渡し価格がマイナスになったため、売り手がおまけを付けて買い手に引き取ってもらう事態になったという。20日のニューヨーク原油先物市場で起こったことである。この場合のおまけはお金だ。お金をあげるからどうか買ってくださいというわけ。もう何が何だか分からない。この日の終値は1当たりマイナス37・63㌦。マイナスになるのは史上初めてらしい
▼新型コロナウイルスの世界的大流行で需要が激減したため、在庫がパンク寸前になっているからなのだとか。産油国は減産だ売り込みだと必死だが、世界経済全体が止まっているのでは焼け石に水。こうダブついていてはいかにあのテレビショッピングのカリスマといえどもさじを投げるのでないか。