道内ガソリン価格の値下がりが収まらない。22日現在、札幌市内では1㍑当たり110円台が中心値で、3月から10円近く下落した。函館や旭川では100円台の安値が散見される。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため世界各国で移動・外出制限が出され、航空機や自動車のエネルギー需要が激減しているのが要因。世界の原油価格に大きな影響を及ぼす米国産標準油種WTIの先物相場は20日、史上初めてマイナスをつけて投げ売り状態となった。石油製品の価格低迷は続きそうだ。
石油元売りの原油調達コストが大幅に下がったため、道内の給油所で販売されるガソリンは4月に入り、もう一段値下がりした。札幌市内のセルフ式スタンドではガソリン115円前後、軽油95円前後が目立つ。競争の激しい函館や旭川は100円台のガソリン価格を掲げる店舗もある。
資源エネルギー庁の調査によると、20日現在のガソリン全道平均価格は122・5円で前週比0・5円値下がりした。軽油は106・3円で0・6円の下落。どちらも3月中旬から7週連続で値下がりしている。
新型コロナウイルス感染症による世界経済の後退懸念から原油相場が暴落しているためだ。12日はサウジアラビアやロシアなど産油20カ国で構成するOPECプラスが5月から2カ月間、最大で日量970万の協調減産を合意したが、相場を引き上げる材料には働かなかった。
新型コロナウイルスの感染を防ぐため、世界各国で移動・外出規制が広がり、航空機や自動車などのエネルギー需要は激減している。
国際エネルギー機関(IEA)は、新型コロナに伴う世界各地30億人の外出制限で世界の石油需要が日量2000万減少すると試算。米国では貯蔵タンクやパイプラインが満杯近くになり、保管料がかかる現物を抱えたくない投機筋や生産者らが投げ売りに走っていて、20日のWTI原油は5月限で1当たりマイナス37・63㌦をつけた。
シーズンオフに入った灯油は続落の展開。4月中旬の店頭価格での全道平均は1㍑当たり75・8円、配達価格は77・9円となっている。市場で影響力のあるエネコープが20日から全道一律で5円値下げしたため、販売業者からは「もう一段の下落が進む」といった声が聞こえている。
(北海道建設新聞2020年4月23日付3面より)