札幌のオフィスビル新築を契機にIT事業を強化
電子請求や電子決済を手掛けるウェルネット(本社・東京)は、札幌市内のオフィスビル新築を契機に優秀なエンジニア育成やシステム開発の内製化を進め、道内でIT事業を強化する。コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛で、在宅勤務を取り入れる企業が増える中、非対面・非接触による業務が求められている。同社の宮沢一洋社長は「ペーパーレスやキャッシュレスなどデジタル化が一気に加速する」と予測。感染収束後の技術革新に目を向けている。
「IT企業は人材が大きな武器となるため、拠点は札幌中心部に近いところがいい」。札幌市厚別区にある同社の札幌事業所社屋を、中央区大通東9丁目に移転改築する理由をこう話す。
新社屋は斬新な外観に加え、社員の健康を中心に光や住環境、水、空気などを最適に保つ規定をクリアするWELL認証の取得を目標に掲げている。「働く環境で道内ナンバーワンの会社を目指したい」と力を込める。
同社は北海道で起業し、1996年に現在の「ウェルネット」に社名を変更。2009年から本社を東京に移した。
業務機能は本道が中心で、従業員は東京の約30人に対し、札幌が協力会社含めて約150人と多い。「仕事を発展させる上で東京という考えはあったが、創業の地に戻ってやり直したい」と意欲を示す。
この一環で、システム開発を外部委託することなく、全て内製化を視野に入れている。
コロナ禍直面でテレワークを導入する企業が増え、オンラインによる在宅勤務の支援サービスをする動きが目立ってきたという。
「外出自粛でも、わざわざ会社に行って印鑑を押す必要がある」と指摘。急速にデジタル化が進むことは間違いないとし、「ペーパーレスやキャッシュレスが普及することで、人が接触しなくていい時代になる」と強調する。
さらに、人工知能(AI)進展に加え、高速大容量通信が可能となる5G(第5世代移動体通信システム)の普及が進んでいる。電子決済やID認証などのシステム開発を手掛ける同社は、こうした技術をどうビジネスに結び付けるか、今後の課題とみる。
「これまでの業務を振り返ると、新しい仕組みを考え出したのは札幌だった。ここでイノベーションを起こしたいという強い思いがある」と明言する。その象徴となる新オフィスビルで、道内発の新たなITサービスを提供する考えだ。
(北海道建設新聞2020年4月24日付2面より)
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