最近は家にいてもテレビを見る気がしない。そう思っている人も多いのでないか。ニュース番組はどれも最初から最後まで新型コロナウイルスの話ばかり。娯楽番組は密閉、密集、密接の3密を避けるため出演者が互いに距離を取っていて面白さも半減である
▼これは新聞も同じで、岐阜県警が23日、ホームレスの高齢男性を殺害した容疑で少年ら5人を逮捕した事件もベタ記事扱い。いつもなら社会面トップだろう。世の中の情報全てに新型コロナがまん延しているかのようだ。まあ文句を言っても仕方がないと、この際テレビや新聞に割いていた時間を読書に充てることにした。早速買ってきたのは過日亡くなったコメディアン志村けんさんの著書『志村流』(三笠書房)である
▼一読、やはり一芸に秀でた人は仕事や人生を語っても深い味があると感心させられた。たとえばこんな一節。「ずっとカッコ悪い生き方していて、それが二十年続いたら、むしろそれは十分カッコイイことで、評価すべきなんだ」。近頃の若者は何を考えているか分からん、と嘆くおじさん世代への言葉もある。「昭和の三十センチのものさしは、二十一世紀ではもはや三十センチではなくなってしまったっていうこと」。時代とずれた物差しを使っているのはどちらか気づけとチクリ
▼志村さんは言う。「たまたま読んだ本が発想の転換のヒントになったり」する。今週から大型連休に入る。遊びには行けないしテレビもつまらない。ならばこの機を生かして読書にいそしみ、コロナ後の復興に向けヒントを探すのも悪くない。