登山では目安として傾斜が急ならば30分に1度、緩ければ1時間に1度のペースで休憩を入れる。ただし予定の行程に遅れが出ているときはこの限りでない
▼当方が山登りの初心者だったころの話である。へとへとになって歩いているとリーダーが「あと10分登ったら一休みだ」と宣言した。地獄に仏とはこのこと。それからは休憩だけを心の支えに歩を進めたが、10分たってもリーダーは全く止まる気配を見せない。10分を目標としていただけに、そこから先の1分1分の長いこと。とはいえ下っ端が異を唱えるわけにもいかない。ひたすら我慢して歩くしかなかったのである。やっと休憩に入った時には宣言から小1時間が過ぎていた
▼新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ緊急事態期限がしばらく延長されると聞き、その苦しかった経験がふと頭をよぎった次第。6日まで頑張れば一息つけると自粛に努めてきたわれわれである。まだ登り続けねばならぬと言われると、正直なところいささか気持ちがしぼむ。特に営業停止を余儀なくされ、収入の道を完全に断たれた方々の窮状は深刻だろう。飲食関係を中心に観光や製造、イベントなど影響は広範囲に及ぶ。学生や派遣、パートも例外ではない
▼安倍首相は延長を31日までとし、事態に改善が見られたときは早めの解除もあり得ると表明している。14日をめどに再評価するそうだ。山登りのリーダーは途中何も言わなかったが、要所で正確な状況や予測を丁寧に説明してくれていればこちらの焦燥感も少しは和らいだはず。さて日本のリーダーはどうか。