最近、野菜が高い。夕飯を食べているとき、わが家の財務大臣がしきりと嘆くのである。「きょう買い物に行ったら、キャベツ一玉が300円以上したのよ。何がどうなってるの」というわけだ
▼ことしは出来が良く出荷も早かったため2月頃までは供給過剰ぎみだったという。ところが新型コロナウイルスをやり過ごすための「巣ごもり」で内食が増え、逆に3月には高まった野菜需要に追いつかなくなったらしい。これではキャベツも気軽に食べられない。農林水産省の食品価格動向調査を見ても、4月13日の週の価格は平年比でキャベツが119%、レタスが112%、キュウリが115%と高い。感染防止のための調査休止で現在の価格は分からないが、もっと上がっているのでないか
▼自粛の影響がそんなところに現れていたとは意外である。とはいえ新型コロナは実際、経済のあらゆる分野に影を落としているようだ。トヨタ自動車でさえ来年3月決算の営業利益を8割減と予想しているくらいである。既に足元はだいぶ暗い。内閣府が12日発表した3月の景気動向指数の速報値は90・5で、東日本大震災があった2011年3月以来、8年9カ月ぶりの低水準だった。しかも数カ月先の景気を示す指数は83・8とさらに下落していたそうだ
▼政府の財政出動が必要なのは当然だが、より以上に大切なのは経済活動を元に戻すことだろう。出口はもう見えかけている。「雨だれのリズムで刻むキャベツかな」櫻井了子。キャベツでコロナを思い出すこともない日常が一日も早く戻ってくることを願う。