昔のブラウン管テレビは買って何年かたつと画面がチラついたりゆがんだり、映りの悪くなることがよくあった。すぐ修理に出す人はまずいない。どうしたか。「バン!」。そう、たたいて直したのである
▼こんなことにもうまい下手があって、子どもがたたいても直らないのにお母さんが試すと一発で元通りなんてことも。コツを聞くと、「横板の真ん中から少し上のあたりを斜め45度の角度で勢いよく叩くのよ」。実際それでしばらくの間は調子がいいから不思議である。なぜ直るかは分からないものの、結果良ければ全て良しとされていたわけだ。それと一緒にしては失礼だが、日本の新型コロナウイルス対策も何が最も功を奏したものか、欧米に比べ死亡者数が著しく少ない
▼政府の感染症対策専門家会議で副座長を務める尾身茂氏が14日の首相会見に同席し、これは日本の医療制度や初期のクラスター対策、国民の健康意識の高さの結果だろうと説明していた。それだけでこれほどの差がつくものなのか。事実、同じ先進国なのに17日現在で米国は死亡者数が8万8000人以上、英国やイタリアは3万人を超える。そんな欧米からは「日本は運が良かっただけ」との声も出ているらしい。訳が分からないからだ
▼最近は予防接種のBCGやアジア人系特有の抗体を理由に挙げる研究者もいるが、真偽のほどは不明である。テレビをたたいて直すのもしょせんは一時しのぎ。原因を見つけて正しく対処せねばいつか大きなしっぺ返しを食う。コロナも死亡者が少なく済んでいるうちに全容を解明したい。