初感染から4カ月 コロナが変えた北海道

2020年06月03日 09時00分

社会、経済の回復へ

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国の緊急事態宣言が5月25日に解除された。1日には道の休業要請も全面的に解かれ、第2波襲来で阻まれた「感染拡大防止と社会経済活動の両立」へ2度目の挑戦が始まる。1月28日に道内で初めて感染者が確認されてから4カ月。ウイルスという目に見えない脅威によって道内経済は急速に冷え込んだ。建設業界にもさまざまな影響が広がったが、それにもかかわらず道民の暮らしや社会機能を維持する役割を担い続けてきた。第3波を警戒しながらも社会と経済の回復へと一歩を踏み出すに当たり、この4カ月間の動きを行政と建設業界の視点からまとめた。(感染症対策取材班)

休工、外国人技能者は来日できず

感染が拡大する中でも
建設業は地域と雇用を守り続けた
(本文と写真は関係ありません)

 政府は4月7日に7都府県を対象にした緊急事態宣言を発令。同16日には北海道を含む47都道府県に拡大したことを契機として、全国の大手、準大手ゼネコンを中心に工事を中断する現場が広がった。

 道内では多くの現場が本格的な着工を迎えていないこともあり、ほとんどの地場ゼネコンは工事を継続した。全国ゼネコンの現場も5月の大型連休明けからは再開に向かっている。しかし、また感染が深刻化すれば再び中止の判断を迫られることになる。休工した場合には、下請けの作業員らが他の現場に流れてしまうリスクも発生することから、つなぎ止めるための休業補償など費用負担に対峙(たいじ)しなければならない。

 2月末の道独自の緊急事態宣言発令以降、3密(密閉、密集、密接)を避けるため、総会や安全大会などの行事を見直す団体が相次いだ。建設業労働災害防止協会北海道支部は55年続けてきた北海道建設業労働災害防止大会の中止を決定。総会についても多くが書面決議で議案を承認する事態になっている。

 感染拡大に伴って国際便の減便・運休が進み、入国時の検疫が強化された。建設業者にとっても今春に採用する予定だった外国人の技術者や技能実習生が来日できない状況が続いている。

 これから予想される建設業への影響について札幌建設業協会が4月末に会員を対象に実施したアンケートでは、経済活動の低迷に伴う民間設備投資の抑制が指摘された。リーマンショック以来の不況は免れない状況下で、政府は5月27日に2020年度第2次補正予算案を閣議決定した。一般会計補正額は32兆円で補正予算としては過去最大の規模。4月に策定した1次補正分と合わせると58兆円に上る。

 今は産業全般に対する経済対策が急務だが、大規模な財政出動によって今後の開発予算が削減されることを危惧する声も聞こえる。安定した事業量を確保して雇用を守り、地域の安全と景気を下支えするためにも、あらためて建設業の役割を広く世間に訴えていかなければならない。

(北海道建設新聞2020年6月2日付4面につづく)

(北海道建設新聞2020年6月2日付1面より)

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 北海道建設新聞2020年6月2日付4面では、「道内経済」、「公共事業」、「中小企業」の3つの観点から、新型コロナウイルス対応がもたらした影響・変化をまとめています。また、道内での感染確認以降の時系列表も併せて掲載しています。

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