建設業の真価

2020年06月12日 09時00分

 本道をはじめ積雪寒冷地では、春になると至る所で傷んだ道路の補修工事が開始される。ほとんどのドライバーは「全く邪魔な連中だ」と一瞬思いはするものの、すぐに頭の中から彼らの存在を消してしまう。大切な仕事をしていることに気付くこともなく

 ▼補修されない道路がどうなるかは廃道を見れば一目瞭然。多くの人は平らで支障なく走れるのが当たり前と考えているが、ひとりでに元通りになるわけはない。フランスの作家サン=テグジュペリは『星の王子さま』でキツネに「かんじんなことは目に見えないんだ」と語らせた。道路の補修も案外その一つかもしれない。というより肝心な仕事なのに縁の下の力持ちに徹しているため目立たない建設業全般がそうなのかも

 ▼その伝でいけばこのコロナ禍の中で建設業が細心の注意を払いながら現場を動かし続けたことにも大きな意義があった。いまや本道の基幹産業となった観光業が総崩れになる中、人知れず経済の下支えの役割を果たしていたのである。今回のコロナで怖いのは感染だけではない。経済活動の停止で仕事がなくなる事態もだ。総務省の調査を見ても、4月の就業者数は6628万人で88カ月ぶりの減少、完全失業者数は189万人で3カ月連続の増加と悪い数字が並ぶ

 ▼2日付本紙でもお伝えした通り、そんな中でも本道の建設業はほぼ休まず現場を維持した。地域経済と雇用を守ったのである。エンジンを止めない基幹産業の存在は今後の立ち直りにも大きな力となろう。まあ、それもやはりほとんどの人の目には見えないのだが。


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