道産木材の利用促進へ
道立総合研究機構建築研究本部北方建築総合研究所は、木造高断熱外壁「北総研防火木外壁(PF仕様)」を開発した。技術移転先の旭化成建材(本社・東京)が申請し、建築基準法の防火構造で国土交通大臣の認定を取得。防火規制に適合しつつ木材を外装材にできるため、道産木材の利用促進が期待できる。
断熱材に防耐火のポテンシャルを見いだしたことから2017―19年度、道産資材を用いた木造高断熱外壁に関する防耐火構造の開発研究を進めた。
開発したのは外装材に木材、付加断熱材にフェノールフォーム断熱材を用いた木造高断熱外壁。フェノールフォーム協会に生産先を打診したところ、旭化成建材が手を挙げた。成果を受けた同社が申請し、4月13日付で大臣認定を取得。旭化成建材では大臣認定の規格に沿った断熱材ネオマフォームを製造・販売する。
研究に携わった糸毛治建築研究部建築システムグループ主査は「建築事業者の使い勝手を優先した」と話す。木材を外装材として使用する場合、北総研防火木外壁を使用すれば、セメント板などの「余分な下地が1枚要らなくなる」と強調。また、木材の貼り方によってさまざまなデザインにできる。厚さ15―30㍉、重ね幅15㍉以上であれば自由に組み合わせられる。
使用できる木材の材質と密度、厚さなどが決められているため、糸毛主査は施工時の注意点として「法律で決まった範囲を超えないよう、性能評価書を見てから作業してほしい」と呼び掛けている。
北総研では、建築事業者のニーズに応えるため、付加断熱材にポリスチレンフォームとグラスウールを用いた防火木外壁も開発。今後は業界団体か事業者が申請し、それぞれ大臣認定を取得する予定だ。
(北海道建設新聞2020年6月16日付3面より)