時事通信ロンドン支局が先週配信した記事を新聞やテレビで見て驚いた人もいるのでないか。英誌エコノミストの調査部門が経済協力開発機構(OECD)加盟21カ国の新型コロナウイルス対応を独自評価した結果、日本が「優、良、可、不可」の4段階で下から2番目の「可」にとどまったというのである
▼意外な低評価だ。しかも死亡者が世界最多の米国や、日本の30倍のフランスに「良」をつけているのである。通信簿に納得できず憤慨する子どもではないが、「一体どこを見ているのだ」と文句の一つも言いたくなろう。今回の評価は幾つかの指標を点数化して決められた。日本はPCR検査数が影響したらしい。他国に比べ実施数が少ないため、点数が低く抑えられたのである
▼この指標を一律に適用したのが間違いだろう。大事なのは使い方とタイミングだ。欧米の主要国は当初闇雲にPCR検査を実施したため、症状の軽い患者まで病院に殺到する羽目となり、医療崩壊を起こしたのではなかったか。実際、人口10万人当たりの死亡者数を比べると日本は0・74人で21カ国中18位と大健闘。「優」のドイツは10・66人で12位である。初期ならともかく収束しつつある今、「可」とはこれいかに
▼指標にはむしろ日本で効果を上げている三密の回避やクラスターつぶしを入れるべきだったかもしれない。政府は19日、継続して自粛を要請していた首都圏と北海道の移動を解禁。これで全都道府県をまたぐ交流が再びできるようになった。「可」の評価が妥当だったかどうか、まあ、見ていてもらおう。