道内外の運動施設で広く採用
空知単板工業(本社・赤平)は、ささくれの発生を抑えた木製床「ササクレス」を提案している。凹凸加工したフローリング材の凸部分である雄実(おざね)の上部分に特殊樹脂を塗り、木の膨張・収縮時に発生しやすいささくれを防ぐ。一般的な屋体用の床材と同様に施工したり、維持管理できるため道内外の運動施設で広く採用されている。

体育館などの木製床のささくれ発生を激減させる
木材は湿度に順応するため収縮と膨張を繰り返す。同社によると、木製床材に発生するささくれの原因は表面保護で塗られる仕上げ塗料にあり、隣り合う床材間の微細な隙間に流れ込むことで生じやすいという。
具体的には床材製品の敷設後に塗った仕上げ塗料が、隣り合う床材間の隙間に流れ込んで硬化。木製の床材は調湿のため収縮・膨張を繰り返すが、硬化した塗料は接着剤のような働きをするため、木の動きに追随せず木材繊維の極めて弱い部分を破断させるという仕組みだ。
ササクレスは、あらかじめ製造過程の段階で雄実の上部分に特殊樹脂を塗り、現場塗装時に何らかの原因で侵入した仕上げ塗料と接着状態にすることで、ささくれを抑える。いわば収縮・膨張する木材と収縮・膨張しない塗料のゆがみをコントロールするイメージだ。

砂川工場でのササクレス製造の様子
空気が乾燥している状況では、隣り合う床材同士が仕上げ塗料の接着効果で引っ張り合い、大きな隙間の発生を防ぐ。さらに一定の力が加わると、特殊樹脂の塗膜が接着状態になった箇所で作用し、互いの床材がきれいに剥がれるよう誘発。コンクリートのひび割れ誘発目地と同様の働きをする。
現場での施工は、日本フローリング工業会発行の「フローリング張り標準仕様書」に準じていて、従来の木製床と変わらない。製品は、のりとくぎを併用した工法用のNライナー18(厚さ18×幅135×長さ1800㍉)と、ダボ打ちによるじか張り工法用のSライナー18(厚さ18×幅445×長さ1800㍉)の2種類を用意する。
4年ほどの開発期間を経て2018年3月に上市。北海道から沖縄まで全国の屋内運動施設で広く使われている。樹種はナラやカバ、ヨーロピアンメープルのほか、地産材を使うこともできる。同社の砂川工場で製造している。
木製床として空気中の湿度が高いときは水分を吸収し、湿度の低いときは水分を放出する調湿機能を備える。コンクリートやビニールタイルに比べ断熱性が高く、クッション効果による衝撃安全性も特長。有害な薬品を使用していないため、廃棄時の環境負荷低減の効果が見込める。
非住宅事業部の高橋透課長は「国産材をたくさん使ってほしい、というのが製品開発のスタート。ササクレスを通し、木の良さを身近に感じて」と話している。
(北海道建設新聞2020年6月22日付3面より)