工期短縮や耐久性向上
東日本高速道路道支社は24日、道内の高速道路で初導入する超緻密高強度繊維補強コンクリート「J―ティフコム」の試験施工現場を報道関係者に公開した。床版の断面補修材・接着材・防水材の各工程をJ―ティフコムに置き換えることで、工期短縮と耐久性向上につながるのが特長。床版補強や補修への採用を見込んでいる。
J―ティフコムはサンブリッジ(本社・札幌)と美和テック(同・東京)が共同開発した高強度で高密度のコンクリート。配合に工夫を重ね、骨材を使用せずスチールウールと鉄粉を混入している。接着材を使わずに打ち込みできる。
通常のコンクリートに比べ薄い上、同等以上の効果が得られ、補修では通常3―5cmに対し、2cmほどの薄さで活用できる。
道内の高速道路で夏に工事が集中して工期が短くなることや、凍結防止剤使用と寒冷地気候からのダメージを受けるといった課題を解決できる。床版の長寿命化にも有効性が見込まれる。
試験施工の現場は道央自動車道岩見沢管内舗装補修が進む札幌市内の月寒川橋上り線。2018年4月からNIPPO(本社・東京)が施工を担い、12月の完成を目指す。床版損傷箇所補修工程の防水をJ―ティフコムの施工に置き換えている。
道支社では試験施工した現場の様子を1年ほど見て、損傷などの耐久性を確認した上で、本格導入を検討する予定だ。
J―ティフコムは19年12月、技術提案や共同研究を募る道支社の「TIネットワーク」に応募。素材や試行に適した現場があったことから今回の試験施工に至った。
北海道開発局や寒地土木研究所での職務経験を持つサンブリッジの三田村浩代表取締役は「凍結防止剤などに負けず、劣化しないコンクリートができないかを長年考えてきた」と話し、道内で生み出された素材が今後導入されることに期待を寄せている。
(北海道建設新聞2020年6月26日付3面より)