宿づくりに郷土力反映 鶴雅ホールディングス代表取締役社長 大西雅之氏

2020年07月31日 10時00分

感染症乗り越えて基幹産業に

大西雅之社長

 阿寒湖温泉を中心に13件のホテルを展開する鶴雅ホールディングス。ことしで創業65周年を迎えたが、新型コロナウイルス感染症で観光業の環境は一変。ただ、北海道の豊富な自然や食の魅力を生かした基幹産業を自負し、洞爺湖に14件目のホテルを計画する。経営戦略を聞いた。(建設・行政部 瀬端 のぞみ記者)

 ―ホテルに込めるこだわりは。

 新築したのは支笏湖のしこつ湖鶴雅別荘碧(あお)の座のみ。この他は、取得ホテルを改修や増築してきた。ホテルは細部に特徴が宿る。新築だと一から考えるが、譲られた施設だとコストが抑えられ、どのようにわれわれのスタイルにするかと細部に集中できる。これは私の性格にも合っている。

 新たに開業する洞爺湖鶴雅リゾート洸(ひかり)の謌(うた)は、定山渓鶴雅リゾートスパ森の謌、しこつ湖鶴雅リゾートスパ水の謌に続き「謌」という言葉を引き継ぐ。支笏湖、ニセコ昆布温泉鶴雅別荘杢(もく)の抄、洞爺湖と立地的に連携が可能。支笏湖は自然の迫力が感じられ、洞爺湖は明るいリゾート地、ニセコは世界に羽ばたくアウトドアリゾート。魅力あるゾーン形成ができる。

 ―近年は海外投資家が本道に注目している。投資家所有の施設でオペレーションをする考えは。

 申し出は多いが、その考えはない。宿づくりは作品づくりと考える。投資家が求める短期の収益性などを気にしながらでは良い作品はつくれない。ただ、企業として成長するためにも業容拡大は必要。このエネルギーを持ち続けるため、2000年から施設を増やし始めた。2年に1件のペースだと、スタッフと一緒に常に新しいコンセプトを打ち出せて面白い。身の丈に合った形で本当に良い作品を一つでも残せれば意義深い。道内から出るつもりもない。

 ―道観光振興機構の副会長などを務めている。業界の状況は。

 どうみん割が始まった。産業全体が希望を持っている。地域差はあるが観光客は8割が国内、2割が海外で、今は国内がベース。阿寒であれば十勝管内から動き出し、道内全域、道外という段階だろう。定員で客室が満員という理想から、ゆとりを持った提供になる。今までの6、7割のお客様で経営を成り立たせるため、経営の在り方を変えなければならない。

 ―観光産業の今後は。

 長い目で見ると、観光は本道の基幹産業になり得る。食材や自然と比べ歴史と文化が弱いと言われてきたが、民族共生象徴空間(ウポポイ)が開業した。感染症流行で初年度に来場100万人という目標達成は難しいかもしれない。魅力を充実し、2、3年目での達成に期待する。観光で導入が検討されるMaaSは5Gの定着が必要。オリンピック開催は状況によってどうなるか分からない。課題が多い今を乗り切れば数年後に基幹産業としての役割を担える。

 ―収束はまだ見通せないが。

 地域が成長して初めてわれわれは成長できる。阿寒のアイヌ文化をはじめとした郷土力を磨き、取り入れて鶴雅らしいホテルを作ってきた。自然とアイヌ文化の2つを包含できるアドベンチャートラベルを地域と鶴雅グループの主軸にしたい。

 国内の人口減少が進む中、海外観光客で成長できるという未来図で観光業界はバラ色だった。ホテルで新入社員と懇談したとき、接客未経験にも関わらず、自分たちが会社を守るという真剣な目がうれしかった。感染症の流行で原点を見つめながらやっていかなければならないとあらためて教えられた。社会にどういう価値を提供できるのか。希望を持って成長産業としての軌道に戻したい。

 大西雅之(おおにし・まさゆき)1955年4月7日生まれ。釧路市出身。東大経済学部経済学科卒、79年三井信託銀行(現・三井住友信託銀行)入行、81年阿寒グランドホテル(現・鶴雅リゾート)入社、2016年3月から現職。

(北海道建設新聞2020年7月30日付1面より)


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