75年目の8月

2020年08月06日 09時00分

 8月はテレビや新聞で台風災害と太平洋戦争の話題が増える時期である。ことしは新型コロナウイルスが再流行の兆しを見せているため、どちらも例年に比べ扱いは小さいようだ。ただ、だからといって関心をなくしていいわけもない

 ▼広島に原爆が落とされてからきょうで75年である。ずいぶん前の歴史のようだが、つい先日も放射性物質混じりの「黒い雨」を浴びた人の援護区域を拡大する司法判断が出たばかり。いまだに最新の問題ということである。とはいえ戦争体験者は減る一方だ。多くの日本人にとって戦争や原爆が単なる知識になっているのもまた事実だろう。防衛力を全否定したり、逆に戦争を美化したりと、昨今よく見られる極端な主張がそれを物語っている

 ▼石垣りんさんの詩「挨拶―原爆の写真によせて」を思い出す。こう締めくくられていた。「一九四五年八月六日の朝 一瞬にして死んだ二五万人の人すべて いま在る あなたの如く 私の如く やすらかに 美しく 油断していた」。戦後75年たち、油断が再び顔をのぞかせているのでないか。当時とは別種の油断である。この時期、マスコミの主導で世間は戦争の悲惨さに注目するが、戦争を避けるための抑止力にはほとんど目を向けない

 ▼世界から独裁も覇権主義もなくなってはいないのだが。台風災害への備えに避難と治水整備があるように、戦争を防ぐにも経済交流を含む外交と他国の攻撃を許さない確かな防衛力が必要だ。わが国を取り巻く国際情勢は時々刻々変わっている。戦争も常に最新の問題として捉え直したい。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 日本仮設
  • 東宏
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,395)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,257)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,238)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,108)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (886)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。