戦国から江戸期にかけて造られた城を観光で訪れる際、粋をこらした城郭を拝むのはもちろん、それを支える石垣を眺めるのも忘れるわけにはいかない。中でも自然石を絶妙に組み上げた石積みを見ると、その高度な技と構造美に思わず感嘆の声が出る
▼昔から石積みを専門とする職能集団がいたようだ。ただやはり基本はあり、例えば相性の良い形の石を見極め、一つの石を六つの石で巻くように積んでいくらしい。形の合わない石を無理に組み合わせると、とりあえず石垣の形はできたとしても長持ちはしないそうだ。風雨や地震にさらされ簡単に崩壊してしまうという。人を集めて作る組織も同じでないか。立憲民主党と国民民主党の合流劇を見ていて考えさせられたことである
▼玉木雄一郎国民民主党代表自身が合流に参加しないのは既に知られているが、ここにきてUAゼンセンや自動車総連、電機連合など「6産別」と呼ばれる民間企業系の産業別労働組合も、合流新党に支援しない方針を打ち出した。産別出身の議員約10人も当然、玉木氏の側に残ることになる。政治信条も目指す社会像も違う、相性に難のある議員と組織を、力ずくで大きなかたまりにしようとしたのだからこうなるのも当たり前。石を積むそばから崩れていく
▼新党への全面協力を約束していた連合傘下の産別だけに、神津里季生連合会長の顔も丸つぶれだ。神津会長は1日の記者会見で玉木氏と離反者を激しく非難したが手遅れの感が強い。新党は10日に代表と党名を決める選挙を開くそうだ。さて石垣の出来栄えはいかに。