ジャイアント馬場やジャンボ鶴田が活躍していたころの全日本プロレス中継を毎週欠かさず見ていた。楽しみにしていたシリーズの一つが有名選手総当たりで一番強いレスラーを決める春恒例の「チャンピオン・カーニバル」である
▼外国人選手ではブルーザー・ブロディが人気だった。馬場は老練な技で、鶴田は正統派ストロングスタイルで相手をじわじわ追い詰めていく。ブロディは反則まがいの攻撃が持ち味だ。誰が優勝するかと毎回食い入るようにテレビを見つめていたが、たいていは皆が最初から期待していた結果に落ち着く。出来レースといえばその通り。ただ、一ファンとして言わせてもらえば、最も実力を持つレスラーが勝つ仕組みになっていたのである
▼病気のため辞任する安倍首相の後継を決める自民党総裁選が8日告示された。菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長、三つ巴の戦いとなる。いずれ劣らぬ持ち味を持つ3人。とはいえやはりはなから勝ちは決まっているようだ。7派閥のうち細田、二階、麻生、竹下、石原の5派閥が菅氏支持を表明し、議員票の7割を既に固めたと聞く。岸田氏と石破氏を推薦するのはほぼ自派閥の議員のみで、支持は広がっていない
▼つまりは今最も仕事のできそうな人が勝つのだろう。だからといって総裁選に意味がないわけではない。プロレスも勝敗にかかわらず、素晴らしいファイトを見せるレスラーが将来人気者になる。今回も立候補者それぞれの主張、戦い方、人となりを多くの人が注目していよう。手抜きをすれば後はない。