みずみずしい感性に心が洗われるからだろう。小さな子どもたちが考えた詩を集めた『こどもの詩』(川崎洋編、文春新書)をたびたび読み返している。その中に6歳(当時)の女の子が、引っ越した先で書いたこんな一編があった
▼「はるたせんせい さきちゃん おはなや てつぼうや まどのくもや みちや バスや つるやや しんちだんちも みんなげんきですか」。先生や友達が大好きだったに違いない。子どもは純真で、先生を全面的に信頼しているものだ。それだけに先日の読売新聞の独自調査結果には驚かされた。わいせつ・セクハラ行為で懲戒処分を受けた公立小中高校などの教員のうち、約半数が自分の勤務する学校の児童生徒らを対象にしていたというのである
▼子どもたちから疑われない立場であることを悪用して行為に及び、さらにばれないよう権威を利用して口止めまでするというのだから卑劣極まりない。何より信じていた先生に裏切られた子どもたちの心の傷がどれほど深いか。保護者で作る団体がおととい、子どもへのわいせつ行為で教員免許を失効した場合は、再取得を不可とするよう求めた陳情書を文部科学省に提出したという。もっともな訴えでないか
▼性犯罪に1編を割いた2015年版犯罪白書も性犯罪の再犯率が際立って高い実態を明らかにしていた。仮釈放中より満期釈放後の方が再犯事例は多いそうだ。失効しても3年たてば再取得できる現行の教員免許法はどうみても甘い。わいせつ教員を利するのでなく、先生が大好きな子どもを守る制度でなければ。