厚生労働省が12月から全国の教育現場を対象に、初の「ヤングケアラー」実態調査を始めることにしたそうだ。ヤングケアラーとは病気や障害などのある家族の介護をする18歳未満の子どもを指す
▼介護に追われて満足に学校へ通えず、日々の生活もままならない子どもが世の中には相当数いるそうだ。ところがその実態は今までほとんど分かっていなかったらしい。現状を把握して負担軽減や支援につなげるという。いいことである。ただここで話題にしたいのはヤングケアラーという言葉の方。近頃、行政でカタカナ語が無造作に使われ過ぎていないか。ビジネスと違い、行政はいろいろな人に情報を伝えねばならない。ヤングケアラーと聞いて分かる人がどれだけいるだろう
▼カタカナ語が気になるのは、コロナ禍が長引いているせいもある。小池百合子東京都知事が典型だが、〝クラスターが発生してオーバーシュートの懸念があるためアラートを発動します。ロックダウンだけは避けたい〟といった具合。それでなくともインバウンド拡大だのソサエティー5・0だのダイバーシティ推進だの。けむに巻こうとしているのか、カッコつけなのか。耳なじみのない言葉が続出する
▼文化庁が先日発表した「国語に関する世論調査」でも、日本語の乱れに〈外国語の多用〉を挙げる人が一定数いた。2年前の同じ調査では、〈カタカナ語の意味が分からず困る〉人が8割を超えていた。言葉が壁となって大事な問題に関心も示されないのでは行政として元も子もない。カタカナ語乱用にアラート発動である。