それぞれ一人暮らしをしていた男女が結婚して一緒の生活を始めるとなると、まずしなければならないのは持ち物の整理だろう。炊飯器や冷蔵庫、洗濯機は一家に2台もいらない。一軒家にせよマンションやアパートにせよ、家財道具を置く場所は限られている
▼よくできたもので、資源を効率よく使え無駄がなくなるため生活費は独身時代ほどかからない。その分、新たな楽しみに回せるお金も増えるというわけだ。身近な出来事に例えるとそんなところかなと勝手に想像しているが、実際はどうなのか。「大阪都構想」の話である。是非を問う住民投票がきのう、告示された。二重行政の解消が最大の焦点とされる。狭い所に洗濯機が2台もあってどうする、ということだろう
▼大阪府と大阪市に限らず、都道府県と政令指定都市の二重行政は日本の行政制度が抱える構造的問題だ。目的は同じだが、使い勝手の異なる行政サービスが一つの地域内で複数展開されている。しかも往々にして連携がとれていない。結果、互いに「あいつらこちらに相談もなく」といがみあう事態に。道と札幌市も昔から仲が悪いといわれてきた。まあ、トップの相性にもよるが、時に主導権争いが起きる事実は否めまい
▼今の大阪は知事と市長が共に「維新」のため、関係は悪くない。それでうまくいくなら必要なのは都構想という冒険でなく、連携手法の確立だとの意見もある。いずれにせよ、バラ色の夢を描いても結婚同様、一緒に暮らして初めて分かることが多い。住民には難しい選択だろう。投開票は11月1日である。