陽気で楽天的なのに加え、自分の価値観を絶対視し、それに強い自信を持つ。あくまでイメージだが、米国人をそう見ている人は世界に多いのでないか。それを示すジョークがある
▼中東の街に赴任した米国の男がアパートの住民について友人に不満をもらす。「毎晩、右隣のやつは壁をドンドンたたくし、左のやつは物をぶつけてくる。全く常識がない」。友人が同情して尋ねる。「それはひどい。君は大丈夫か」。すると男は豪快に笑いながら「ああ問題ない。俺は見知らぬ国で寂しいから部屋ではいつも朝までトランペットを吹いてるんだ」(『100万人が笑った!「世界のジョーク集」傑作選』中央公論新社)。たわいのない作り話だが、一面の真実を物語るものではあろう
▼トランプ米大統領も先のイメージそのまま、陽気だが自己中心的で独断専行型の人物に見える。最近も黒人に対する差別に冷ややかだったり、自身が新型コロナに感染しても軽視の態度は相変わらずだったりと、まさにわが道を行く。さて、そのトランプ氏、下馬評をひっくり返して再選を果たすのか、それともただの人に戻るのか。11月3日の大統領選投票日が3週間後に迫った
▼現在は民主党候補ジョー・バイデン氏が優勢という。NHKが各州の選挙人を試算したところ、バイデン氏が226人で、トランプ氏を大きく引き離していた。どうやら今回も「隠れトランプ支持者」が勝敗の鍵を握ることになりそうだ。表には出てこないがトランプ氏の人気は根強い。夜中のトランペットも同好の士にとっては胸躍る演奏だろう。