地滑りや落石、雪崩を防ぎ安全な道路通行確保へ―。留萌開建は5日、報道機関を対象に国道239号苫前町霧立峠トンネル建設現場で現地説明会を開いた。霧立道路では、2012年4月に大規模な地滑りが発生していて、同開建は安全対策を講じるため13年度に霧立防災を事業化。霧立峠トンネルは防災事業の一環で、施工業者の岩田地崎建設・堀口組共同体が高度な技術を発揮し掘進していた。
国道239号は網走市を起点に紋別市、名寄市を経由し留萌市に至る延長340㌔の幹線道路。12年4月に苫前町霧立で大規模な地滑りが発生したことを受け、道路の安全な通行を確保するため、ルート切り替えを検討し13年度に霧立防災を事業化、16年度から着工した。
霧立防災の全体整備延長は、霧立峠付近600m(1工区)と苫前町側4300m(2工区)を合わせて4900m。
霧立峠トンネルはNATM工法で1工区に新設する。延長は271m、高さが4・7m、全幅が8・5m、内空断面が54・8m²。苫前町側から士別市側に向かって掘削する。
工事は7月27日から始まり11月5日までに約60m掘り、進捗率は23%。坑口部は風化の影響により岩質が劣化していて、そのまま掘削すると岩塊が細粒化するスレーキング現象が発生し汚泥化するため、トンネル断面に薬剤を注入して地山を硬化させながら掘進している。
使用している重機は、ドリルジャンボやエレクター吹き付け機、バックホーなどで、土砂運搬量は1日当たり10㌧トラック約40台分になるという。
安全対策としては、重機にバックモニターを設置し接触事故を防止。また、坑内にカメラを設置し小林等現場代理人らが携帯電話を使って、リアルタイムで状況を把握できるようにしている。
工期は21年9月16日まで。同3月までにトンネルを貫通させ、前後の道路改良に取り組む予定だ。その後、トンネル舗装や照明設備設置などを施すため、完成は22年度以降となる。(留萌)
(北海道建設新聞2020年11月7日付8面より)