農業、漁業、建設業の振興、人口減少や過疎化を食い止めたい―。10月の町長選で無投票当選を果たし、3期目の続投が決まった遠別町長の笹川洸志氏(74)。最大の課題は「地域の活性化だ」と強調する。1次産業の所得向上や建設業の人材確保、町民の命を守る医療など数多くの難題が待ち構えている。町政運営を担う町のリーダーとして、時代の荒波に立ち向かう決意を聞いた。(留萌支局・梅坪国史郎記者)
―今後の抱負を。
子孫に残すまちづくりのため人口減少や、過疎化の歯止めに対応する。大きな課題であり何としても食い止めたい。
―地域活性化に向けてどう取り組むのか。
関係人口の増加を図る。人の流れを活発化するため道の駅「えんべつ富士見」とその周辺整備を進める。道道名寄遠別線の早期全線開通と、それにつながる国道40号の高速道路整備など早期着工と完成を求めていく。
また、町内全域を網羅している光回線を生かしテレワークやワーケーションを進め、民間投資住宅の建設や移住・定住促進など流入交流人口の増加を目指す。
―農業、漁業、建設業の振興策は。
農業は、スマート農業を推進し後継者確保に向けた取り組みを強化する。町内の農業経営者はほ場の拡大意欲が強く、ニーズを捉えた対応をしていきたい。漁業では遠別漁港に船を陸に吊り上げる上架施設が完成した。安全・衛生管理ができる漁港になり、今後も必要な投資をしていく。
建設業はまちにとっては1次産業のようなもの。従事する人のため、道路整備など事業量と財源の確保に努め、外国人実習生確保を支援し労働力不足解消につなげたい。津波の避難経路をきちんと整備するためにも建設業の協力は欠かせない。
―町立診療所の新築を計画しているが、医療従事者の採用が課題となっている。
診療所は現在、医師や看護師の意見を取り入れながら基本設計を進めている。2021年度には実施設計、財源が確保できれば22年度の着工を目指している。医療従事者は特に医師確保が難題だ。地域医療振興財団や民間あっせんなどあらゆる手段を講じる。住民の命と健康を守るため医療の質を守りたい。
―遠別中の改築も構想している。どう整備していくのか。
財政状況を見極めなければと考えているが、中学校の改築も待ったなしの状況。診療所完成のめどがついた段階で判断していく。
(北海道建設新聞2020年11月13日付10面より)