希望のトンネルが10年の歳月を経て貫通―。11月20日、音威子府村と中川町を結ぶ国道40号音威子府バイパスの中で最長の音中トンネルが、難工事を乗り越えた末に貫通した。2021年度以降はコンクリート覆工、舗装整備などを進め、安全で確実な交通体制確保に向け早期完成を目指す。
音威子府バイパスは、1993年度に事業化し、07年度に着工。延長19㌔の自動車専用道路で、国道40号の雪崩や冠水などの自然災害による通行規制解消を目的とする。
10年度から着工した音中トンネルは、音威子府バイパスの中で最も長いトンネルで、延長は4686m。施工は、清水建設・伊藤組土建・岩倉建設共同体が請け負ってきた。
18年度開通を目指していたが、脆弱(ぜいじゃく)な蛇紋岩層が進行を阻み難工を強いられた。蛇紋岩に岩盤強度を低下させる水滑石(ブルーサイト)が含まれていたほか、微閃緑岩(せんりょくがん)が蛇紋岩のひびに入り込み、もろさに拍車を掛けた。
掘削時には地盤のひび割れや隆起、トンネルアーチ部の変形などに悩まされ、断面形状の変更や、支保コンクリートを厚くするなど対策を重ねてきた。掘削進度が1日1mと厳しい制約の中、供用を待ち望む地域の期待を背負い一進一退で掘り進め、11月20日に悲願の貫通を果たした。
音威子府バイパス全体の開通時期は現時点で未定だが、音中トンネルの残事業はコンクリート覆工、舗装や道路整備などとなっている。
(北海道建設新聞2020年12月3日付4面より)