四国と欧州の草の根国際交流に取り組む「四国夢中人」の代表、尾崎美恵さんがこの会をつくったのは54歳の時だった。といっても会員は自分だけ。当時は専業主婦で、娘に言わせると「日本の田舎の普通のおばちゃん」(『すごいお母さん、EUの大統領に会う』文芸春秋)だったそう
▼そんな人が持ち前の行動力とサービス精神で、ついに欧州理事会議長との会見まで実現させてしまうのだから大したものである。ある程度の年齢になると、何かやりたいことがあっても「こんな歳から新たな挑戦はできない」と諦めてしまう人が多いものだ。ところが夢を追い続ける人にとっては年齢などどこ吹く風。立ち止まる理由にならないのだろう
▼北海道日本ハムファイターズや米大リーグで活躍した新庄剛志さんもそんな人である。神宮球場で7日行われた12球団合同トライアウト(入団テスト)に参加し、現役復帰してもプレーできると実力をアピールした。新庄は今48歳。この10年、野球からは遠ざかっていた。日ハムのユニホームで現れた新庄は最終打席でレフト前にヒットを放った。その見事さは日ハムで共に日本一を経験したダルビッシュ有も「10年以上野球やってないのに143km/hを芯に当ててるのが凄すぎる」とツイートするほど
▼チームが追い込まれると形勢逆転のチャンスをつくり、勝利に導いていた現役のころを思い出す。「持ってる」男なのである。どんな状況でも諦めず、新たな挑戦を続ける人の姿を見るのは気持ちがいい。今回、新庄の挑戦に元気をもらった人も多いのでないか。