自衛隊がコロナ支援で旭川へ

2020年12月10日 09時00分

 新型コロナウイルス感染拡大初期の象徴的出来事といえば、巨大クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の集団感染だろう。まだウイルスの正体も対応策もはっきりとは分かっていなかったため、現場は混乱し、関係者も右往左往していた

 ▼時は過ぎ、今は第3波が日本を襲う。その象徴的出来事がまさか本道で起こるとは。国内最大のクラスターになってしまった旭川厚生病院である。医療崩壊の寸前だという。急速に事態が悪化し、通常の方法ではもはや収拾がつかなくなっていたダイヤモンド・プリンセス号を救うのに大きな役割を果たしたのが自衛隊だった。危機的状況に陥ったときにはやはり頼りになる。今回も旭川市への派遣が決まった。基幹病院の相次ぐクラスター化で逼迫(ひっぱく)する市内医療体制の後方支援に回る

 ▼陸上自衛隊の看護官ら10人がきのう、担当現場に到着した。2チームに分かれて市内の病院や重症心身障害者施設で医師の診療補助や入院患者の体調管理に当たるそうだ。吉田茂元首相が1957年、防衛大学校一期生に伝えたこんな話を思い出す。「君たちは自衛隊在職中決して国民から感謝されたり、歓迎されたりすることなく自衛隊を終わるかもしれない」。なぜなら「歓迎されチヤホヤされる」のは国民が困っているときだけだから

 ▼国民と自衛隊の間にかなり距離のある様子がうかがえる。時代も社会も変わった。われわれは今、自然災害やウイルスとの絶え間ない戦いの中にいる。人々の命を守るため常に最前線に立つ彼らにはいくら感謝しても足りない。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • 日本仮設
  • 川崎建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,399)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,268)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,240)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,109)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (888)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。