新型コロナウイルスに振り回された2020年もそろそろ終わろうとしている。誰にとってもいまだかつて経験したことのない、波乱の一年だったのでないか
▼干支(えと)の話をするとことしは「庚子(かのえね)」で、新しい命が生まれてどんどん増え、万物が茂る年を示唆していた。その増え、茂るものがまさか新型コロナだったとは。ウイルスにとっては最良の一年だったろうが、人間にとっては散々だった。では、来年はどんな年になるのだろう。恒例により干支が物語るところを紹介したい。2021年は「辛丑(かのとうし)」である。「辛」は入れ墨をする針の形をかたどった字で、何かを成すときに伴う痛みを表す。また十干の季節分類では秋の後半になるため果実や穀物が実り熟するさまを示唆する
▼一方、「丑」の字の由来は動物の牛でなく、人が手の指の先を曲げて物をつかむ形という。その意味するところは〝締め付ける〟〝縮める〟だ。導き出されるのは植物などが伸び悩む姿である。これが組み合わさった「辛丑」は関係が〝相生〟で、互いの性質を強め合う。となるとコロナ終息をはじめ物事はそう簡単に進まないかもしれない。伸びようとすればするほど締め付けの力は強くなり、殻を破ろうとすると激しい痛みを伴う
▼逆にいうとエネルギーは内部に十分蓄えられている状態だ。痛みに耐える体力と覚悟があれば大きな収穫を得ることも期待できる。果敢に立ち向かい産みの苦しみを乗り越えられた者だけが新たな境地に立てるということか。さて、皆さんの覚悟やいかに。